サプリメント・健康食品の広告における薬事法について(4)

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健康食品の広告適正化や安全性確保に向けた取り組み強化へ

内閣府の消費者委員会は1月29日、健康食品について、行きすぎた表示や広告が広がっており、健康食品の広告適正化や安全性確保に向けた取り組みに関し強化が必要だとし、健康食品・サプリメントのあり方に関する建議書を消費者庁と厚生労働省に提出しました。
建議したのは、以下の4点。

(1)健康食品の広告表示の適正化
(2)健康食品の安全性確保
(3)健康食品の機能性表示
(4)消費者に対する理解促進

健康食品については、誇大広告等のガイドラインの作成が2003年と10年前のものであり、当時とは広告の発信方法等の変化も合わせ、内容としても現場にかえって混乱を生じさせる懸念が指摘されています。
消費委員会からは化粧品に対する「医薬品等適正広告基準」と同様の基準作りを求める声も上がっています。

建議の方向性としては、以下のことが盛り込まれています。

◆消費者庁に対し
 ⇒表示・広告のガイドラインの改善や具体的な表現をまとめた事例集の作成

◆厚生労働省に対して
 ⇒被害情報を収集・分析する仕組みを研究

また消費者庁長官記者会見においても阿南長官は「景品表示法と健康増進法との法執行強化のための連携を進め、その両方の法律の執行の効果的・効率的な運用を図るなど適切に対応」
と答えており、新たな厳しい制度化への動きが明確となったと言えるでしょう。

健康食品を扱う事業者にとって関心が高いのは、以下の部分ではないでしょうか。

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■【内閣府】
「健康食品」の表示等の在り方に関する建議
 ⇒ http://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2013/0129_kengi.html
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【1】健康食品の表示・広告の適正化に向けた取組の強化
消費者庁及び厚生労働省は、健康食品の表示・広告の適正化に向けた現行法における取組として、次の措置を講ずること。
また、消費者庁は、これらの措置等を通じ、健康増進法に基づく勧告・命令の実績を積み上げること。

(1)消費者庁は、食品の健康保持増進効果等に関する虚偽・誇大な
 表示・広告に係る指針(ガイドライン)について、以下の措置を含めその大幅な改善を図ること。また、監視指導等の実情を踏まえ、内容を定期的に更新すること。

1)いわゆる健康食品の表示・広告の実態を分析し、違反となる
 おそれのある健康保持増進効果等の具体的表現を可能な限り多数示すことにより、指針が平易で明快なものになるよう努めること。
 また、直接的表現による表示・広告のみならず表示・広告を全体でみた場合に、消費者に健康保持増進効果等を誤認させるような暗示的表示・広告についても、それが禁止されている旨を、具体的表現を示しつつ改めて明確にすること。

2)消費者庁、地方厚生局及び都道府県等が行った指導事例等を収集・分析し、監視指導等に有益な具体的事例集を盛り込むこと。
 特に、間接的に健康保持増進効果等を標ぼうする表示・広告についての事例や、都道府県等から消費者庁又は地方厚生局に対して問い合わせが多い事例の例示を充実させること。
 また、各事例については、特定の文言のみならず絵図等を活用した表示・広告全体の具体的イメージ、指導等の理由、薬事法、景品表示法等の関係法令の適用の可否等を記載すること。

(2)消費者庁は、消費者からの申出や一部の消費者に監視を委嘱するモニタリング等の仕組みを充実させ表示・広告の監視を行うこと。

(3)消費者庁及び厚生労働省は健康増進法、景品表示法、薬事法等の担当部局間の連携及び、都道府県等においても保健所等の関係部局間の緊密な連携による行政指導や法執行が促進されるように努める。
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建議では景品表示法の措置命令や不実証広告規制について、都道府県への権限付与の検討も進めています。
そのため、ガイドラインには具体的事例、特にイラストや写真を用い、全体のイメージを示すような参考例を盛り込むとしています。

また、当研究所にもよく相談として持ち込まれる、製品情報を掲載しない、成分の効果作用の情報を掲載した紙面や冊子の配布についても言及がされています。

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消費者庁、地方厚生局及び都道府県等が行った指導事例等の収集・分析の結果を踏まえ、実質的に広告であると判断される(注)にも関わらず、規制の対象となることを逃れようとする表示・広告については、具体的事例を示しつつ、それが規制対象となり得ることを明示すること。その際、消費者が表示・広告には当たらないと誤認するおそれがある事例については、必要に応じて、当該表示・広告に、それが表示・広告である旨を明示することを推奨することも考えられる。
(注) 留意事項によれば、特定の顧客を誘引する意図が明確であり、特定食品の商品名等が明らかにされているものであって、一般人が認知できる状態にある場合には、広告にあたると判断される。
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この手法については行政見解を求めた際、具体的に当該冊子等を拝見しないと……という前置きがありながらも、製品との関連を消費者が類推することを考えれば「良いといえるものではない」との回答を得ています。
事業者が「製品情報を掲載しない成分の効果作用情報」を消費者に配布することの目的を考えれば、そこにあるのはやはり少なからずも製品についての効果作用を、消費者自らにより結び付けて認識させたい、というところが本音であるかと思われます。
今回、この手法に関しては消費者が「表示・広告には当たらない」と認識するのは「誤認」とし、必要に応じて当該表示・広告に、それが表示・広告である旨を明示することを推奨……という考え方が延べられています。「成分の効果作用を製品効果と見せたい」ことを前提とし、ある意味この時点で広告であることが成立している、という考えととれます。
「消費者がどう受け取るかによる」という曖昧な部分を、「消費者が広告ではないと受け取るのは誤認」と言い切ってしまうのは、いささか乱暴に感じるところがありながらも、曖昧な判断のもとに違法な広告が増長してきたことを鑑みれば、致し方ない……とも言えるのではないでしょうか。
実際に「広告であるとの明示」が必須とされるか否かは、今後の動き、決定を見守るほかありませんが、当たり前のように行われてきた「情報誌」としての配布について、行政がどのような内容を具体的事例として示し、どのように規制をしていくか、今後も注視・調査を進めていきます。
 
 
 
 
 

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