サプリメント・健康食品の広告における薬事法について(3)

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花粉症対策のサプリメントの広告表現における注意点

この日本では糖尿病、花粉症、腰痛が三大国民病といわれ(諸説あります)、特に花粉症については、年々発症する人が増えており、今や日本人の6人に1人がかかっているとも言われています。

さらに今年は花粉の飛散開始が昨シーズンよりやや早いか、同じ位のタイミングになるだろうと言われており、また、飛散量は昨年度より7割増加という予測もでており(ウエザーニュース「花粉の飛散開始予想 2013年」より)花粉症の方は戦々恐々としているようです。

一方で、6人に1人が花粉症であり、また今までは花粉症でなかった方でも、あるとき急に発症するというケースがあるということはある意味ビジネスチャンスになるとも言え、実際に花粉症対策の商品は様々なものが市場に出回っています。

また、病院から処方された薬や市販薬を使用すると“眠くなることがある”ともいわれ、運転を生業としている方をはじめ、仕事で眠くなるわけにはいかないという方々にとっては薬を服用するということに抵抗を感じている場合も多く、特に健康食品という分野においては、“身体にやさしく、眠くならない”ということで消費者からの熱い視線が注がれているとも言えるでしょう。

しかし、やはり気を付けなければいけないのが薬事法です。
医薬品のような効能効果を標榜することはご法度ですから、どういう表現であれば使用できるのかを見ていきましょう。

まず、「花粉症」という標ぼう自体が『特定疾患』となる為、医薬品的な効能効果を暗示することになり、健康食品では一切不可となります。
「花粉症」を「花粉性」といったように漢字を書き換えたりするケースも見かけますが、薬事法的には免罪符にはなりません。

「症状」への言及がしにくいということで単に「花粉の季節に」等、季節や状況を表現する場合もあり、特にこの「花粉の季節に」「花粉の対策に」といったフレーズをよく見かけますが、残念ながらこちらも不可と判断されるケースがとても多い事例です。

「花粉症」という表現を直接的に標ぼうしていなくても、全体の文章の内容から、その商品が「花粉症の症状を予防・改善」するものであることを『暗示』をすること自体が一切不可と判断されるためです。

実際に行政の見解として、東京都福祉保健局のHPに「花粉症への効果の標ぼうについて」というPDFが掲載され、違反事例とともに「解説」が示されています。

≪健康食品の取り扱いについて≫該当ページ
 ⇒ http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/kenko_shokuhin/ken_syoku/index.files/pollen.pdf

そのなかで、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「花粉症」という表現はでてきませんが、「花粉の季節はつらい」などの表現により花粉症に対する効果を暗示する標ぼうとなっております。
よって【全体的に見ると】「医薬品的」な効能を標ぼうしていることになります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とあり、広告中に『花粉症』という直接的な表現を使用していなくても、『全体的な文意』から不可と判断する可能性があることを明確にしております。

ではどういった表現が『花粉症の暗示』となるのでしょうか?
具体例として

×「花粉」
×「スギ」「ひのき」
×「春のムズムズ・イガイガ」
×「飛散」
×「ティッシュ(マスク)が手放せない」
×「春になると憂鬱」

など、「花粉症を明確にイメージさせる標ぼう」や「花粉症特有の症状」を表現する場合などが該当すると思われます。
また、ワードだけでなくイメージ画像で、杉山から花粉が飛んでいるようなビジュアル、また怒りの表情をした花粉マーク…といったものも暗示の要素にあたりますので注意が必要です。

また、TVやラジオなどで「花粉向けサプリメント」を販売する場合、その導入トークで
 「今日は温かで春みたいですね。でも春といえば、
  今年は花粉の量がすごいみたいですね~。」

といった季節の話題にからめた「一般論」を紹介するに留め、商品の詳細部分では配慮した内容として構成する場合であっても、【商品の販促目的で標ぼうする場合はたとえ一般論であっても不可とする】という行政の見解から、『花粉症の暗示』と判断される可能性がございます。

それでは、どういった表現ならば標ぼうすることができるのか?

○『気持ち良く春を迎えたい(過ごしたい)方』
○『春も快適に』
○『冬から春の季節の変わり目が嫌いな方』
○『転ばぬ先の杖で、春も元気にいたい方』

程度の表現であれば、必ずしも状態の改善や予防を示しているとまでは言えず、いわゆる抗弁できる範囲の表現となりますので、差し支えないものと思われます。
(前後の文章や使用するイメージによっては、これらの表現に留まるものであっても『花粉症の暗示』とされる可能性も皆無とはいえませんので、ご留意ください。)

しかしながら、商品の『含有成分』に「花粉」を使用している場合は、健康食品であっても「花粉」を表現することは差し支えないものとされています。

ひとつ事例をご紹介いたします。
山田養蜂場「花粉ハーブ」
 ⇒ http://www.3838.com/shopping/camp/kafun_t/?prid=pli_ac_aaf_A01_G400&sc_cid=pli_ac_aaf_A01_G400_pc-health-others-3009316

この場合の配慮として、『花粉を原料としている』旨の明記が必須となりますが、ある意味インパクトのある広告をつくることは可能といえるでしょう。
 
 
 
 
 

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