薬機法・景表法ニュース

「美容医療レベルのシワ改善」で課徴金命令――初の医薬部外品事例【2025年12月2日】

医薬部外品シワ改善表示に課徴金命令 エムアンドエムへ588万円、医薬部外品で初

消費者庁は2日、㈱エムアンドエム(東京都港区、帆足拓馬社長)に対し、医薬部外品『アンリンクル』の不当表示に関して景品表示法第8条第1項に基づく課徴金納付命令を行った。表示は、あたかも数秒で美容医療と同様のシワ改善効果が得られるかのように示していたもので、合理的根拠資料を提出しなかったため優良誤認と推定された。

同社には過去にも複数の商品で処分や申入れが繰り返されており、医薬部外品に対する課徴金命令は制度開始後初のケースとなる。また、地方自治体の措置命令に基づく課徴金納付命令としても食品、ヘルスケア関連分野では2016年4月以降、5件目という珍しい記録となった。

課徴金対象行為が行われた期間は、2022年7月2日から同11月21日まで。また、エムアンドエムは課徴金対象行為を中止した後、23年5月5日に景品表示法施行規則第8条に基づき消費者などに対する是正措置を講じたとされ、同5月3日が措置実施前の最後の取引日だった。このため課徴金対象期間は22年7月2日から23年5月3日までと確定された。

 同期間における『アンリンクル』の売上額は1億9,632万4,953円と算定され、その3%に相当する588万円が課徴金額として決定された。エムアンドエムは来年7月3日までに課徴金588万円を国庫に納付することが命じられている。


参照元:Wellness Daily News(2025年12月3日より)

2025年12月2日、消費者庁は㈱エムアンドエムに対し、医薬部外品「アンリンクル」の広告表示について景品表示法に基づく課徴金納付命令を行いました。

問題となったのは、あたかも使用後すぐに美容医療と同様のシワ改善効果が得られるかのような表示です。同社は合理的根拠資料の提出を求められましたが、期限内に提出せず、優良誤認表示と推定されました。

さらに今回は、医薬部外品に対する課徴金命令としては制度開始後初の事例となった点でも注目されています。

本記事では、今回の問題点と事業者が注意すべきポイントを解説します。

ニュースの概要

株式会社エムアンドエムは、医薬部外品「アンリンクル」の広告において、あたかも使用するだけで数秒間などの極めて短い時間で美容医療と同様のシワ改善効果が得られるかのような表示を行っていました。

消費者庁は同社に対し、表示の裏付けとなる合理的根拠資料の提出を求めましたが、期間内に提出がなかったことから、当該表示を優良誤認表示と推定しました。

課徴金対象期間は2022年7月から2023年5月までで、対象商品の売上額は約1億9,600万円。これに対し、消費者庁は588万円の課徴金納付命令を行いました。

なお、今回の命令は医薬部外品に対する課徴金命令としては制度開始後初の事例とされています。

今回の問題点はどこか

1. 「数秒でシワ改善」を連想させる即効性表現

今回問題となった表示は、医薬部外品を使用するだけで、「数秒間などの極めて短い時間で、目元や口元、首などのシワが美容医療と同様に改善する」かのような印象を与える内容でした。

医薬部外品は、一定の効能効果が認められた製品ではあるものの、医薬品や美容医療とは制度上の位置付けが異なります。

そのため、

  • 即効性
  • 劇的な変化
  • 短時間での改善

などを強く印象付ける表現は、実際以上の効果を消費者に期待させるものとして問題視される可能性があります。

2. 美容医療レベルの効果を想起させる訴求

今回の事案では、単なるシワ改善の訴求ではなく、「美容医療と同様の効果」を想起させる点も大きな問題となりました。

近年の行政処分では、

  • 美容医療レベル
  • クリニック級
  • レーザーと同等

など、医療機関や医療行為を連想させる表現が問題視されるケースが見られます。

たとえ直接的な比較表現を用いていなくても、広告全体を通じて消費者に「美容医療と同程度の効果が得られる」という印象を与えれば、優良誤認と判断される可能性があります。

3. 合理的根拠を示す資料が確認できなかった

景品表示法では、表示された効果や性能について合理的根拠があるか疑義が生じた場合、消費者庁は事業者に対し、その裏付けとなる資料の提出を求めることができます。

今回、エムアンドエムは求められた期間内に表示の裏付けとなる合理的根拠資料を提出しなかったため、景品表示法第8条第3項の規定に基づき、当該表示は優良誤認表示と推定されました。

重要なのは、事業者が「根拠がある」と考えていても、その根拠を客観的な資料として示せなければ、表示の裏付けとして認められない可能性があるという点です。

広告表現を検討する際は、根拠資料の有無だけでなく、その内容が表示を十分に裏付けるものか、また行政から求められた際に速やかに提出できる状態になっているかについても確認しておくことが重要です。

今後、事業者が注意すべきポイント

1. 即効性を強調する表現は慎重に検討する

以下のような表現は高いリスクを伴います。

  • 数秒で
  • たった1回で
  • 即効
  • 塗った瞬間

特に美容分野では、短時間で劇的な変化を訴求する表現は行政のチェック対象になりやすいため注意が必要です。

2. 医療行為や美容医療との比較を避ける

医薬部外品や化粧品で、

  • 美容医療並み
  • クリニック級
  • レーザー級
  • 医療レベル

などの印象を与える表現は慎重な検討が必要です。
直接的な比較表現を用いていなくても、広告全体として医療と同等の効果を想起させる構成になっていないか確認しましょう。

3. 根拠資料を整理・保管しておく

広告表示の適法性は、エビデンスの有無だけでなく、その内容や管理体制も重要です。

消費者庁から合理的根拠資料の提出を求められた際に、

  • どの資料が対象表示を裏付けるのか
  • どのような試験結果に基づくのか

を速やかに説明できる状態にしておく必要があります。

広告公開前の段階で、「この表示について根拠資料を提出できるか」という視点で確認することが重要です。

まとめ

今回のエムアンドエムに対する課徴金命令は、即効性を強く印象付ける表現や、美容医療と同等の効果を想起させる広告表示が問題となった事例といえます。

また、医薬部外品に対する課徴金命令としては制度開始後初のケースとなったことから、今後の広告実務にも影響を与える可能性があります。

美容・健康関連商品の広告では、「魅力的に見せること」だけでなく、「その表示を客観的に裏付けられること」がこれまで以上に重要になっています。事業者は、効果訴求の内容だけでなく、エビデンス管理体制についても改めて見直す必要があるでしょう。

このニュースから学んでおきたい知識

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