薬機法・景表法ニュース

「効果には個人差があります」でもNG 痩身広告に課徴金命令【2026年2月17日】

痩身エステの不当表示に課徴金 くまのみに361万円納付命令

消費者庁はきのう17日、整骨院・エステサロンを運営する㈱くまのみ(埼玉県さいたま市、池田秀一社長)に対し、景品表示法違反(優良誤認)に基づき課徴金納付命令を出したと発表した。

 同社は自社ウェブサイトにおいて、運営する「プレミアムボディバランス」(Premium Body Balance)で提供する痩身メニューについて不当な表示を行っていた。具体的には、2022年6月2日から23年1月20日までの期間、「-7.3kgの体験!※効果には個人差があります 埼玉No.1整骨院プロデュース 美骨盤矯正+選べる最新痩身5種ダイエット」、「Premiam Body Balance式部分集中痩せダイエットプログラムは、全ての脂肪・セルライトに絶大な効果があります」などと記載。あたかも当該サービスを受けるだけで、脚部や腹部の脂肪が落ち、著しい痩身効果が得られるかのように示していた 。

 同庁は同社に対し、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたが、期限内に資料は提出されなかった 。課徴金の対象となった期間は22年6月2日から23年4月8日まで。同社は26年9月18日までに、361万円を支払わなければならない。

参照元:WellnessDailyNews(2026/2/18より)

痩身サービスや美容サービスの広告では、「○kg減量」「ビフォーアフター」「セルライト対策」といった表現が集客の中心となることが少なくありません。

しかし、こうした訴求は消費者の関心を集めやすい一方で、景品表示法上のリスクも高い分野です。

実際に消費者庁は2026年2月、痩身サービスの広告表示について優良誤認表示があったとして、株式会社くまのみに課徴金納付命令を行いました。

本記事では、ニュースの概要と問題点、事業者が注意すべきポイントについて解説します。

ニュースの概要

消費者庁は2026年2月17日、整骨院やエステサロンを運営する株式会社くまのみに対し、景品表示法違反(優良誤認表示)に基づく課徴金納付命令を行ったと発表しました。

同社は、自社が運営する「プレミアムボディバランス」において提供している「美骨盤矯正+選べる最新痩身5種ダイエット」に関し、

  • 「-7.3kgの体験!」
  • 「全ての脂肪・セルライトに絶大な効果があります」

などと表示していました。

消費者庁は、これらの表示について、あたかもサービスを受けるだけで脚部や腹部の脂肪が落ち、著しい痩身効果が得られるかのように示すものであると認定し、表示の裏付けとなる合理的根拠資料の提出を求めたところ、同社は期限内に資料を提出できませんでした。

このため、当該表示は優良誤認表示に該当すると判断され、361万円の課徴金納付命令が行われました。

今回の問題点はどこか

1.痩身効果を強く印象付ける表示を行っていた点

今回問題となった表示には、「-7.3kgの体験」や「全ての脂肪・セルライトに絶大な効果」といった強い効果訴求が含まれていました。

一般消費者は、このような表示を見ると「サービスを受ければ自分も同じように痩せられるのではないか」と期待する可能性があります。

特に痩身サービスは、体質や食生活、運動習慣など様々な要因によって結果が左右されます。そのため、一部の利用者の結果や強い効果表現を前面に出した場合、実際以上の効果を連想させるリスクがあります。

景品表示法では、事業者が伝えたい内容ではなく、一般消費者が広告からどのような印象を受けるかが重視されます。今回も、広告全体として著しい痩身効果が得られるような印象を与えていたことが問題視されたと考えられます。

2. 「個人差があります」という注記だけでは十分ではない点

美容や健康分野の広告では、「効果には個人差があります」という注記がよく用いられています。

しかし、このような注意書きを付けているからといって、優良誤認表示のリスクがなくなるわけではありません。

例えば、大きく「-7.3kg」や「絶大な効果」と表示しながら、小さく「個人差があります」と記載していた場合、消費者の印象としては前者が強く残る可能性があります。

実際の行政処分事例でも、広告全体の印象が重視される傾向があります。そのため、注記の有無だけではなく、広告全体として過度な期待を抱かせる内容になっていないかを確認することが重要です。

3. 根拠資料を示せなかった点

今回の事案で見逃せないのが、合理的根拠資料を提出できなかった点です。

景品表示法では、優良誤認表示に該当するかを判断するため、消費者庁等が表示の裏付けとなる合理的根拠資料の提出を求めることがあります。期限内に資料を提出できない場合、その表示は不当表示とみなされることがあります。

つまり、「実際に効果があると思っていた」だけでは足りず、その効果を客観的な資料で説明できる状態でなければなりません。

広告制作の段階で根拠資料が整理されていないと、行政調査への対応が困難になるだけでなく、課徴金命令などのリスクにもつながります。

今後、事業者が注意すべきポイント

1.体験談やビフォーアフターの使用方法を見直す

痩身サービスや美容サービスでは、体験談やビフォーアフター写真が重要な販促手段となっています。

しかし、一部の成功事例だけを強調すると、誰でも同様の結果が得られるかのような印象を与えるおそれがあります。

掲載する際は、特定の体験談が一般的な結果であるかのように受け取られないかを確認し、広告全体として誤認を招く構成になっていないか検証することが重要です。

2. 断定的な効果表現は慎重に使用する

「絶大な効果」「確実」「必ず」「全て」といった表現は、消費者に強い期待を抱かせます。

その一方で、これらの表現を使用するためには高いレベルの客観的根拠が求められます。

広告表現を検討する際には、「その内容を第三者に説明できるだけの根拠があるか」という視点でチェックすることが重要です。

3.広告公開前から根拠資料を整備する

今回の事案から学ぶべき重要なポイントは、広告公開前から根拠資料を整備しておくことです。

行政から資料提出を求められてから準備を始めても、短期間で十分な資料を揃えることは容易ではありません。

特に美容・痩身・健康関連サービスでは、効果に関する表現を使用する前に、その根拠となる試験結果や調査データ、検証資料などが適切に保管されているかを確認しておく必要があります。

まとめ

今回の課徴金納付命令は、痩身サービスにおける効果訴求のリスクを改めて示した事例といえます。

特に、

  • 具体的な減量数値の訴求
  • 強い効果を示す断定表現
  • 体験談やビフォーアフターの活用
  • 「個人差があります」という注記への依存
  • 根拠資料の未整備

といった点には注意が必要です。

広告の魅力を高めることは重要ですが、それ以上に求められるのは「その表示を客観的に説明できる根拠を持っているか」という視点です。

痩身や美容分野の広告を行う事業者は、今回の事例を参考に、自社の広告表現や根拠資料の管理体制を改めて見直してみてはいかがでしょうか。

このニュースから学んでおきたい知識

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