薬機法・景表法ニュース

「塗るだけで傷防止」に根拠なし――スマホコーティング剤に措置命令【2025年12月18日】

「スマホ画面に塗るだけで傷防止」は根拠なし…消費者庁がソフトバンクグループの会社に措置命令

スマートフォンなどの画面コーティング剤で、画面の傷の防止に効果があるとした表示には合理的な根拠が認められず、景品表示法違反(優良誤認表示)に当たるとして、消費者庁は18日、販売したソフトバンク子会社「SB C&S(エスビー シーアンドエス)」(東京・港)に再発防止などを求める措置命令を出した。

消費者庁によると、商品名は「INVOL ULTRA コーティング」と、後継商品の「INVOL Extra Fine コーティング」でスマホ用とタブレット用がある。

2023年7月から今年8月にかけ、商品パッケージやインターネット上で、液剤を画面に塗ると傷の防止に効果があるかのような表示をしていた。「INVOL ULTRA コーティング」は抗菌効果もうたっていた。消費者庁が同社から提出を受けた資料では、表示の根拠となる内容は認められなかったとしている。



参照元:日本経済新聞(2025年12月18日より)

消費者庁は2025年12月18日、スマートフォン向けコーティング剤の広告表示について、SB C&S株式会社に対し景品表示法に基づく措置命令を行いました。

商品パッケージやウェブサイト等において、液剤を画面に塗ることで傷の防止効果が得られるかのような表示を行い、一部商品では抗菌効果も訴求していました。

消費者庁が提出を受けた資料を確認したところ、これらの表示を裏付ける合理的な根拠は認められず、優良誤認表示に該当すると判断されました。

本記事では、今回のニュースの概要と問題点、そして事業者が注意すべきポイントについて解説します。

ニュースの概要

SB C&S株式会社は、自社ウェブサイトやYouTube動画などにおいて、スマートフォンやタブレット向けコーティング剤「INVOL ULTRA コーティング」などを販売する際、抗菌効果や「塗るだけでキズなどを防止できる」かのような表示を行っていました。

これに対し、消費者庁は景品表示法第7条第2項に基づき合理的根拠資料の提出を求めましたが、提出された資料は表示の裏付けとなる合理的根拠を示すものとは認められず、当該表示は優良誤認表示に該当するとして、同社に対して措置命令が行われました。

今回の問題点はどこか

1. 「塗るだけで傷を防止できる」と受け取られる表示

今回問題となったのは、コーティング剤を塗布するだけでスマートフォンの画面に傷が付きにくくなる、あるいは傷を防止できるかのような表示です。

消費者は広告を見ると、「画面保護フィルムのような保護性能が得られる」と受け取る可能性があります。

しかし、その性能を裏付ける十分な根拠がなければ、実際以上の性能を示す表示として優良誤認に該当するおそれがあります。

2. 抗菌効果の訴求にも根拠が求められる

「INVOL ULTRA コーティング」では、傷防止だけでなく抗菌効果についても訴求が行われていました。
抗菌といった性能に関する表示は、消費者が商品を評価する重要な要素です。

そのため、

  • どのような菌を対象としているのか
  • どの程度の効果があるのか
  • どの条件で確認された結果なのか

といった内容について、客観的な裏付けが求められます。

性能表示は、商品のジャンルを問わず景品表示法上のチェック対象となることに注意が必要です。

3. 提出された資料が合理的根拠として認められなかった

景品表示法では、表示された性能や効果について疑義が生じた場合、消費者庁は事業者に対して合理的根拠資料の提出を求めることができます。

今回、SB C&S株式会社は資料を提出したものの、消費者庁はその内容について、傷防止効果や抗菌効果の表示を裏付ける合理的な根拠とは認めませんでした

重要なのは、「資料があること」ではなく、「表示内容を十分に裏付ける資料であること」が求められる点です。

事業者としては、試験結果やデータを保有しているだけでなく、その内容が実際の広告表現を支えられるものになっているかを確認する必要があります。

今後、事業者が注意すべきポイント

1. 性能訴求は客観的な試験結果に基づいて行う

商品の性能や機能を訴求する場合は、

  • 試験方法
  • 試験条件
  • 評価基準

明確なデータに基づいていることが重要です。
「傷に強い」「保護する」などの表現は、具体的な根拠が求められる代表的な表示といえます。

2. 試験結果以上の表現を避ける

たとえ試験結果が存在していても、

  • 傷が付かない
  • 完全に防止できる
  • 絶対に守れる

など、試験結果の範囲を超える表現はリスクを伴います。
実際のデータが示している範囲内で訴求することが重要です。

3. 根拠資料を整理・保管しておく

広告表示の適法性は、エビデンスの有無だけでなく、その内容や管理体制も重要です。

行政から説明を求められた際に、

  • どの資料がどの表示を裏付けるのか
  • どのような試験結果に基づくのか

を速やかに説明できる状態にしておく必要があります。

広告公開前の段階で、「この表示について合理的根拠資料を提出できるか」という視点で確認することが望ましいでしょう。

まとめ

今回の措置命令は、「塗るだけで傷防止」という性能訴求について、表示を裏付ける合理的な根拠が認められなかった事例です。

景品表示法では、商品の効果や性能を訴求する場合、その内容を客観的な資料によって裏付けられることが求められます

特に、機能性や保護性能をうたう製品では、消費者が実際以上の性能を期待しないよう、試験結果の範囲を踏まえた適切な表示を行うことが重要です。

このニュースから学んでおきたい知識

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