機能性表示食品の通販会社に約1000万円の課徴金…消費者庁
アフィリエイトサイトなどで大げさな痩身効果や、不適切な調査方法によるナンバーワン表示をうたい、機能性表示食品を販売したことが景品表示法に違反するとして、消費者庁は6月30日、通販会社のハハハラボ(東京都墨田区)に対し、課徴金1086万円を支払うよう命じたと発表した。
根拠もなく大げさな痩身効果うたう
同社は、機能性表示食品のサプリメント「メラット」を販売する際に、アフィリエイトサイトで「何をやっても太る理由が判明! 食べてないのに太るのは“燃焼力”がないから 50㎏以上の女性 9割がしていない 3週間で60.8㎏→47.2㎏まで痩せた方法がすごい!」などと表示。商品に含まれる成分の働きによって、簡単に腹部の脂肪が減少し、見た目でわかるほどの痩身効果が得られるかのようにうたっていた。
しかし、同社が提出した表示を裏づける資料は、合理的な根拠と認められなかった。
不適切な調査方法でナンバーワンと表示
さらに、アフィリエイトサイトで、「30~60代女性が選ぶダイエットサプリ」「一番継続しやすいダイエットサプリ」「コスパが良いと思えるダイエットサプリ」などの6項目について、調査の結果、同社の商品が第1位を獲得したかのように宣伝していた。
消費者庁の調べによると、調査の実施時に回答者に対し、同社の商品や競合品を実際に使用した経験の有無などを確認していなかった。これに加え、調査方法は各社のウェブサイトの印象を聞くというものだった。
消費者庁は同社に対し、来年2月2日までに1086万円の課徴金を納付するよう命じた。
参照元:通販通信ECMO(2025年6月30日より)
Contents
ニュースの概要
消費者庁は2025年6月30日、東京都墨田区のハハハラボに対し、景品表示法5条1号(優良誤認表示)違反を理由に 1,086万円の課徴金納付命令 を発出しました。対象は、同社が販売する機能性表示食品サプリメント「メラット」。
ハハハラボはアフィリエイト広告や自社サイトで
- 「3週間で60.8㎏→47.2㎏」
といった誇大な痩身効果を掲示。また「30〜60代女性が選ぶダイエットサプリ第1位」など6種類の“ナンバーワン”表示も併用していました。
ところが、提出された根拠資料は科学的妥当性を欠き、順位付け調査も実際の使用経験を確認せず「サイトの印象」を尋ねただけだったと判明。消費者庁は生活者を著しく誤認させる表示と判断しました。
何が問題だったのか
ネット広告で見かける「飲むだけで○kgやせる!」といった謳い文句は、つい試してみたくなる魅力がありますが、裏付け(エビデンス)がなければ法律違反になる恐れがあります。今回の「メラット」広告は、まさにその典型例でした。
今回の問題点を3つに分けて解説します。
①誇大な痩せ効果の表示
広告には「3週間で60.8 kg → 47.2 kg」と、わずか3週間で13 kg以上も体重が減った体験談が大きく書かれていました。しかも「飲めば誰でもラクにやせる」という印象を与える内容です。
健康食品で許される表現は「脂肪の代謝を助ける」程度までであり、「短期間で劇的にやせる」と断言するのは行き過ぎです。
②根拠資料が適正でない
消費者庁は「その数字を裏づけるデータを見せてください」と求めましたが、提出された資料は
ハハハラボが販売する本件商品及び他の事業者が販売する同種商品について実際に利用したことがある者か又は知見等を有する者かを確認していない
など問題があり、科学的な裏付けとして認められませんでした。
③アフィリエイト広告でも責任は販売会社
今回の広告は外部のアフィリエイター(個人ブロガーなど)が作ったものでしたが、法律上の責任は広告主であるハハハラボにあります。
第三者が投稿した内容でも「見せ方が誤解を招く」と判断されれば、販売会社が課徴金や命令を受けます。
事業者が今後注意すべき点
健康食品やサプリの広告は「ちょっと言い過ぎただけ」で、すぐに課徴金や措置命令につながります。トラブルを避けるために、次の4つを徹底しましょう。
①根拠となるデータをきちんと用意する
広告に数字や体験談を載せるときは、その裏づけとなる試験報告書やアンケートの生データを社内で一元管理し、行政から提示を求められればすぐに提出できる体制を整えておく必要があります。
ハハハラボが提出した資料は被験者数が少なく、比較のための「飲まないグループ」もなく、短期間で13 kg以上減量したという広告内容を説明できませんでした。その結果、「合理的根拠なし」と判断され、課徴金につながったことを忘れてはいけません。
②数字や「ナンバーワン」を示すときは成り立ちを開示する
「30〜60代女性が選ぶダイエットサプリ第1位」などの順位づけは、一見すると信頼性が高そうですが、調査方法が不透明では逆にリスクが高まります。
今回の広告は、回答者に使用経験の有無を聞かず、競合商品の選定基準も示さないまま“1位”と表示していたため、客観的な比較とは認められませんでした。
順位や%表示を使う際は、誰を対象に、何を比べ、どのように集計したのかを広告内またはリンク先で示すことが必須です。
③短期間で劇的にやせる断定表現は避ける
健康食品が広告で伝えられるのは「脂肪の代謝を助ける」といった穏やかな働きまでであり、「飲むだけで必ずやせる」や「腹部脂肪がごっそり減る」と断定するのは行き過ぎです。
医薬品のような即効性を想起させる表現は、景品表示法だけでなく薬機法の観点からも問題視されるため、たとえ個別の体験談であっても慎重に扱うべきです。
④アフィリエイト広告でも販売会社が責任を負う
今回の違反表示は第三者のアフィリエイターが作成したページに掲載されていましたが、消費者庁は「表示主体は広告主」と明確に指摘しました。
つまり、外部パートナーが配信する広告であっても、誇張や誤認があれば販売会社が課徴金や措置命令の対象になります。事業者は定期的にネット上の広告を巡回し、問題のある表現を見つけたら速やかに修正・削除を依頼する監視体制を構築することが不可欠です。
まとめ
ハハハラボの「メラット」広告は、短期間で二桁の減量を断定的に示すなど、実際よりも著しく優れた効果をうたったこと、さらに根拠として提出した試験データやアンケートが科学的に不十分だったことから、景品表示法の「優良誤認表示」に該当すると判断されました。消費者庁は2025年6月30日付で課徴金1,086万円の納付を命じ、広告主である同社に表示主体としての全責任を負わせています。
今回の処分は、①数値・体験談・No.1 表示には第三者が再確認できるデータが不可欠であること、②限定条件の試験結果を生活者全般に当てはまるように見せるのは許されないこと、③アフィリエイト広告でも販売会社が法的責任を負うことを改めて示しました。健康食品やサプリを扱う事業者は、今後も根拠データの整備と広告表現の点検を怠らず、消費者の合理的な商品選択を妨げない誠実な情報発信を徹底する必要があります。
このニュースから学んでおきたい知識
「-10 kgもラクに痩せた!」──そんな夢のようなコピーがネットを彩るいま、根拠のない痩身効果表示は景品表示法で厳しく摘発されています。
2025年6月30日、機能性表示食品「メラット」を扱う通販会社ハハハラボが、誇大な痩身効果と不適切な“ナンバーワン”表示で課徴金1,086万円を命じられました。
2023年12月には、同様の違反に対してすでに措置命令が出されており、今回の課徴金命令は、それに続く形で“金銭的なペナルティ”が科されたものです。
本記事では、本件の問題点と、健康食品・サプリを扱う事業者が取るべき実務対応を解説します。
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