薬機法・景表法ニュース

ASUNOBIに業務停止命令―特定商取引法違反が示す問題点と事業者が注意すべき点【2025年9月10日】

消費者庁は、美容クリーム等を販売する通信販売業者であるASUNOBI株式会社(以下「ASUNOBI」といいます。)に対し、令和7年9月9日、特定商取引法第15条第1項の規定に基づき、令和7年9月10日から令和8年3月9日までの6か月間、通信販売に関する業務の一部(広告、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。

あわせて、消費者庁は、ASUNOBIに対し、特定商取引法第14条第1項の規定に基づき、法令遵守体制の整備その他の再発防止策を講ずることなどを指示しました。

また、消費者庁は、ASUNOBIに対し、特定商取引法第15条の2第1項の規定に基づき、令和7年9月10日から令和8年3月9日までの6か月間、前記業務停止命令により業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含みます。)の禁止を命じました。


参照元:消費者庁(2025年9月10日より)

消費者庁は令和7年9月9日、美容クリーム等を販売する通信販売業者「ASUNOBI株式会社」に対し、特定商取引法違反を理由とする業務停止命令を下しました。

命令の内容は以下の通りです。

  • 業務停止命令:令和7年9月10日から令和8年3月9日までの6か月間、通信販売に関する業務の一部(広告、申込受付、契約締結)を停止。
  • 再発防止命令:法令遵守体制の整備や再発防止策の実施を指示。
  • 代表取締役への業務禁止命令:代表取締役・武藤竜也氏に対し、同期間中、新たに同様の業務を開始することや、他法人で該当業務を担当する役員になることを禁止。

今回の問題点

当事例は、消費者保護を目的とする特定商取引法に違反したと判断されています。

具体的には、広告表示や販売方法において不適切な点があり、消費者を誤解させたり不利益を与える恐れがあったことが指摘されています。

さらに、法人だけでなく代表取締役個人にも処分が下されたことは、経営者自身の責任が強く問われていることを示しています。

特定商取引法の目的は、消費者トラブルを未然に防ぎ、不公正な取引行為を規制することです。そのため、違法行為の責任を法人だけでなく、実際にその行為を主導・実行した個人にまで及ぼす仕組みを採用しています。
法人だけを処分しても、個人が別の法人を設立して再度同様の行為を行うリスクがあり、再犯を抑止するために個人に対する処分も行われます。
個人に対しても業務禁止命令を科すことで、不適切な取引業務に再び関与することを防いでいるのです。

事業者が今後注意すべき点

信頼される事業運営のために次の5つを徹底しましょう。

①広告表示の適正化

事業者は、商品やサービスを宣伝する際に、効果や価格、販売条件について根拠のある情報のみを表示することが必要です。

誇張や不明確な表現を用いると、消費者が誤解し、結果として特定商取引法違反となる可能性があります。広告作成時には必ず社内でチェックを行い、必要に応じて専門家の意見を取り入れるべきです。

②申込・契約手続きの透明性確保

通信販売では、消費者が商品を購入する際の契約条件をわかりやすく明示することが重要です。

特に定期購入契約などは、申し込み時に明確に表示しなければトラブルにつながります。消費者が誤って契約してしまうような仕組みは排除し、誰でも理解できる手続きにすることが求められます。

③内部コンプライアンス体制の構築

再発を防ぐためには、法令遵守を徹底できる組織体制を整えることが不可欠です。

広告や契約条件を確認する社内の監査体制を強化するとともに、外部の第三者監査を取り入れることも有効です。問題が発生した場合に迅速に改善できる体制を持つことが信頼確保につながります。

④経営者の責任意識の強化

今回のケースでは、代表取締役個人にも業務禁止命令が出されています。

経営者は「知らなかった」では済まされず、法令遵守の仕組みを自ら主導して構築する責任があります。経営層が率先してコンプライアンスの重要性を示すことで、従業員全体の意識向上にもつながります。

④消費者との信頼関係の再構築

法令違反が発覚すると、企業への信頼は大きく損なわれます。

そのため、透明性の高い情報公開誠実な対応を継続して行い、消費者に安心して取引してもらえる環境を整えることが必要です。
信頼を取り戻すことは時間がかかりますが、長期的な事業存続のためには避けて通れない課題です。

まとめ

ASUNOBI株式会社への業務停止命令は、特定商取引法違反に対する厳しい姿勢を示す事例です。

事業者は、広告表示や契約方法における透明性を徹底し、法令遵守を組織文化として根付かせなければなりません。加えて、経営者自身が責任を持って再発防止に取り組み、消費者との信頼関係を回復する姿勢を示すことが、今後の企業経営において極めて重要です。

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