なぜ表示ルールが変わったのか
「ウォータープルーフ=水に強い」という従来のイメージだけでは、紫外線防止効果がどれほど残るかを消費者が判断できません。その課題を解決するために制定されたのが「UV耐水性★/★★」表示です。
日本化粧品工業連合会より、「紫外線防止効果に対する耐水性試験および耐水性表示基準」が制定され、発出されたのが、2021年10月15日です。
2022年12月1日より本基準が運用開始となり、2024年11月30日にて経過措置期間が終了、2024年12月出荷分からは、紫外線防止効果に対してウォータープルーフなどの耐水性を表す表示、広告表現をする場合は、必ず「UV耐水性★、★★」を表示することが義務化されています。
UV耐水性とは
このUV耐水性というのは、水に浸かる前のSPF値が、水に浸かった後にどのくらい保持できているかを示すものです。
ISO18861で定められた測定法による結果に基づき、耐水性表示ができます。
- 水浴条件 合計40分(20分×2回)で耐久性あり⇒「UV耐水性★」
- 水浴条件 合計80分(20分×4回)で耐久性あり⇒「UV耐水性★★」
ここでまず混同しないよう気を付けたいのが、この基準は「紫外線防止効果に対する耐水性」の表示であって、「メイクアップ化粧品の化粧持ち効果」とは別であることです。
メイクの落ちにくさや化粧持ちに対する基準ではないことを覚えておきましょう。
参照元:日本化粧品工業会
耐水性の表示ルールについて
耐水性を製品等に記載する際は、メイクアップ化粧品の化粧持ち効果に関する耐水性との混同を避けるために、必ずSPFと併記するということがルールとなっています。(この耐水性表示はSPFに対するものなので、PAの併記は必須ではないとしています。)
- SPF25 UV耐水性★
- SPF50+ PA+++ UV耐水性★★
- UV耐水性★★
SPF50+ PA++++
SPF、PA、UV耐水性の表示は横並びでも2段・3段の縦並びでも可能です。
また、表示の順番にも決まりはなく、SPF表示より前にUV耐水性を表示しても良いとされています。また、UV耐水性の表示は「☆」あるいは「★」のいずれでも可能です。
「UV耐水性」「ウォータープルーフ」の表記時の注意点
「UV耐水性★★」といった表記について、「ウォータープルーフ★★」と言い換えてSPF表示と併記するなど、基準と異なる表示はできません。
「ウォータープルーフ」との表示ができないということではなく、「ウォータープルーフ」は化粧もちがよいと捉えるのが一般的であるため、UV耐水性表示を「ウォータープルーフ」と言い換えるのは誤解を与えるためできないということです。
なお、SPF表記がある日焼け止めではUV耐水性表示がないと「ウォータープルーフ」との表示は不可となりますが、「ウォータープルーフ」と表示する場合には、それがUV耐水性のこととわかるよう、誤解のないように書くことが重要です。
また、UV耐水性に関する基準は皮膚の外側からの水に対しての耐久性を評価するものであり、汗に対する耐久性を示すものではありません。そのため、UV耐水性の結果をもとに汗に対する耐久性を謳うことはできないこととなっています。
水浴後の紫外線防止効果の強さは、耐水性のみではなく、元のSPFの高さにも依存するため、UV耐水性のみ強調して表示することは不可です。SPF表示とUV耐水性が合わせて表示されることで、紫外線防止効果の強さが正しく伝えることができる、としています。
UV商品でない場合は……?
先に「化粧持ちとは別」と述べましたが、「耐水性があります」「汗や水に強い」「ウォータープルーフ」等と訴求したい場合、それが紫外線防止効果に対する耐水性を謳いたいのであれば、本基準の耐水性測定法による試験が必須です。
一方、紫外線防止効果に対する耐水性ではなく、メイク持ち、化粧落ちしにくい、汗に対するメイクの落ちにくさを表すのであれば、この耐水性試験の対象ではありません。
- ウォータープルーフマスカラ
- 汗水に強いアイライナー
- 洗顔しても数日持つ、ティントアイブロウ
UV非該当の商品であれば、上記の様に「化粧持ち」「汗に落ちにくい」を指して「ウォータープルーフ」と述べたとしても、UV耐水性測定法による試験は不要です。各メーカーの判断においてエビデンスに基づき「ウォータープルーフ」の表示ができます。
UV耐水性について制定されるまでは、各メーカーの基準で表示されていたため、定義も解釈も、効果もまちまちでした。基準ができたことで、商品選びがしやすくなったと言えます。
経過措置期間が終了しているとはいえ、まだ新しい基準です。「UV耐水性」「ウォータープルーフ」を表示するときの参考になれば幸いです。
この記事から学んでおきたい関連知識

梅雨入り宣言が出たと思ったら、いきなり気温30℃超えの真夏日。
強烈な日差しとともに降り注ぐ紫外線(UV)は、シミ・シワだけでなく肌内部のコラーゲンにもダメージを与えます。だからこそ、「一年中UVケア」が新常識になった今でも、春先〜夏前は“自分の肌に合う日焼け止め”を探すお試し需要がピークを迎えます。
その際、購入判断の決め手になるのが「UV耐水性」や「ウォータープルーフ」といった表示。
といったニーズに応えるキーワードですが、表示基準を誤ると薬機法(旧薬事法)違反になる恐れがあります。
2024年12月出荷分からは、日本化粧品工業連合会の新基準により「SPFと併記して★または★★で示す“UV耐水性”表示が義務化」され、従来の「ウォータープルーフ★★」などの表現はNGに。
本記事では、
を中心に、“UV商品における耐水性表現”のポイントを徹底解説します。
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