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化粧品における「臭い」表現の基本ルール
シャンプーや香水など、におい対策商品が多い化粧品。しかし、広告で使える表現には明確なルールがあります。まずは、化粧品における「におい」表現の基本を押さえましょう。
化粧品は“緩和な作用”が前提
薬機法において、化粧品は「身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、皮膚または毛髪を健やかに保つ」ことを目的とした、人体に対する作用が緩和なものと定義されています。そのため、病気や体質への「改善」や「治療」など、医療的な効果を連想させる表現はできません。
「臭い」や「におい」に関しても、“根本原因を取り除く”といった表現はNGとなります。では、どのような表現が可能なのでしょうか。
表現できる効果効能:56項目中、臭い関連は3つ
化粧品に認められた効能効果(いわゆる「56項目」)の中で、においに関する項目は以下の3つです。
No | 効能効果内容 |
---|---|
(2) | 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える |
(38) | 芳香を与える |
(53) | 口臭を防ぐ(歯磨き類) |
これらの範囲内であれば、化粧品でもにおいに関する訴求が可能です。
OKとなる物理的・感覚的な効果の訴求
56項目の効能に加えて、化粧品では以下のような物理的な作用による訴求も可能です。
- マスキング効果:香りで不快臭を覆い隠すこと
例:香りで汗のにおいをカバー - 洗浄効果:においの原因となる汚れを落とすこと
例:皮脂や汗をしっかり洗浄
ただし、これらは「においを消す」「発生させない」といった強い表現や断定的な言い回しはNGになります。
化粧品カテゴリ別の具体的なOK・NG表現
化粧品の広告では、「香り」や「洗浄」などの表現であれば、ある程度においに関する訴求が可能です。ただし、実際の商品カテゴリごとに使用できる表現のニュアンスや注意点は異なります。
この章では、代表的な化粧品カテゴリ別に「OK表現」と「NG表現」の例を挙げながら、どこまでが許容され、どのような表現が薬機法に抵触するのかを解説します。
①シャンプー・ボディソープなどの洗浄系化粧品
- 臭いの原因となる皮脂をしっかり洗い流す
- 気になる臭いを香りでカバー
これらは、洗浄によって臭いのもとを物理的に除去する、または香りでにおいを包み込む(マスキング)という表現であり、化粧品の範囲内に収まっています。
- 皮脂の分泌を抑えてにおいの発生を防ぐ
- 気になる臭いを成分〇〇が徹底消臭
NGとされるのは、生理機能への作用(分泌抑制)や、原因菌の殺菌・消臭といった医薬品的な表現です。化粧品ではこれらを訴求することはできません。
②ボディミスト・香水などの芳香系化粧品
- 簡単一吹きにおいケア※(※マスキングによる)
- 汗の臭いを香りでカバー
ボディミストや香水の主な目的は「芳香を与える」ことなので、マスキング効果を前提にした表現は比較的使いやすいです。ただし、“においを消す”“抑える”といった断定的な効果表現は避ける必要があります。
- 体臭をオフする
- においの原因に直接アプローチ
「体臭を消す」や「原因にアプローチする」といった言い回しは、根本的な原因の除去や医薬的な効果を暗示するためNGです。
③歯磨き粉(化粧品に分類されるもの)
- ミントの香りで息すっきり
- 口内を浄化し口臭を防ぐ
歯磨き粉の中でも、化粧品に分類されるものは「芳香を与える」「清浄にする」といった表現が中心です。項目(53)「口臭を防ぐ」は、歯磨き類に限って認められている効果です。
- 口臭の原因菌を殺菌
- 口臭を改善する
口臭の原因菌の殺菌や根本的改善といった表現は、医薬部外品または医薬品の領域に該当するためNGです。また、継続使用によって効果が高まるといった断定的な表現も避けましょう。
医薬部外品における「臭い」表現の基本ルール
「におい対策商品」の中には、医薬部外品として販売されているものも多くあります。医薬部外品は化粧品よりも訴求できる効果が広く、「防止」や「殺菌」などの一定の作用を明示的に伝えることが可能です。
ただし、医薬部外品であっても、「治療」や「根本的改善」を思わせる表現はNGです。
医薬部外品とは?
医薬部外品とは、厚生労働省の承認を受け、有効成分を一定濃度配合し、特定の効果を標榜できる商品です。化粧品よりも効能の訴求が可能ですが、医薬品と違って「治療」を目的とするものではありません。
「におい」に関しては、次の2種類の商品でよく見られます:
商品区分 | 主な効能効果の例 |
---|---|
腋臭防止剤(制汗剤など) | わきが(腋臭)、皮膚汗臭、制汗 |
薬用石鹸(殺菌剤主剤) | 皮膚の清浄・殺菌・消毒、体臭・汗臭・にきびを防ぐ |
医薬部外品では、厚生労働省に承認された有効成分が含まれていれば、その成分がどのように作用するか(作用機序)を説明することは可能です。
次章では、具体的に医薬部外品の商品カテゴリ別に、OK・NG表現を見ていきます。
医薬部外品カテゴリ別のOK・NG表現
医薬部外品では、「においの防止」や「原因菌へのアプローチ」といった、ある程度踏み込んだ表現が可能です。ただし、治療効果や体質改善のような表現は引き続きNGであり、商品カテゴリごとに使える言い回しには明確な違いがあります。
この章では、医薬部外品の代表的なカテゴリである腋臭防止剤と薬用石鹸(殺菌剤主剤)について、使用できる表現と避けるべき表現を具体的に紹介します。
①腋臭防止剤(デオドラント製品・制汗剤など)
腋臭防止剤は、「ワキガ(腋臭)」「皮膚汗臭」「制汗」などの効能を表示できる、医薬部外品ならではのカテゴリーです。
- 汗臭が気になる方に
- 有効成分〇〇がワキ臭の原因にアプローチ
これらは、防臭・制汗・殺菌という認可された効果を基にした表現であり、消費者に効果の範囲を正確に伝えることができます。
- ワキガを改善
- 汗や臭いが出にくい体質に
これらの表現は、治療・改善・体質変化といった医薬品的なニュアンスを含んでおり、医薬部外品では使用できません。
②薬用石鹸(殺菌剤主剤)
薬用石鹸は、においの原因となる皮膚常在菌や皮脂汚れの洗浄・殺菌によって、体臭や汗臭の防止を目的とする商品です。
- においの原因菌を殺菌して体臭を防ぐ。
- においの原因をしっかり洗浄
これらは、殺菌・清浄といった医薬部外品の許可効能に沿った表現であり、認可された範囲内での訴求が可能です。
- 年齢とともに増える、悪臭の原因物質の生成を抑制
- 使えば使うほど臭わない体へ
このような表現は、「においの原因物質の生成を抑える」「体質が変わる」といった誇大な効果や改善を連想させるため、薬機法上NGとなります。
まとめ
「におい」に関する広告表現は、商品が化粧品か医薬部外品かによって、使える言葉の範囲が大きく異なります。化粧品では「香りでカバー」「洗浄して清潔に」といった緩やかな効果のみが認められ、医薬部外品では「防ぐ」「殺菌する」など認可された効能の範囲で訴求が可能です。
ただし、いずれも「治す」「改善する」「体質を変える」などの表現はNGです。商品の分類と効能を正しく理解し、根拠に基づいた表現で安全かつ魅力的な広告づくりを心がけましょう。
この記事から学んでおきたい関連知識

汗をかきやすい季節や湿度の高い梅雨の時期は、「におい対策商品」の需要が急増するタイミングです。シャンプーやボディソープ、制汗剤や口臭ケア製品など、さまざまな分野で「におい」を意識した商品が多く登場しています。
しかし、こうした商品の広告や販促において注意したいのが、「におい(臭い)」に関する表現方法です。薬機法(旧・薬事法)では、商品の種類(化粧品・医薬部外品など)によって、表現できる効果効能に制限があります。訴求の仕方によっては、違法広告とみなされるリスクもあるのです。
この記事では、「におい」に関する広告表現のルールを、商品カテゴリ別に分かりやすく解説。OK表現とNG表現の具体例も取り上げながら、安全かつ効果的な広告制作のヒントをお届けします。
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