英会話NOVA「入会金0円」キャンペーンは景表法違反 消費者庁、有利誤認表示で命令
消費者庁は17日、英会話学校「NOVA」で通常税込み2万2千円などとしている入会金の徴収実績が長期間ないのに、キャンペーンで0円や半額になると宣伝したのは景品表示法違反(有利誤認表示)に当たるとして、運営会社に再発防止などを求める措置命令を出した。
消費者庁によると、運営会社「NOVAランゲージカンパニー」(東京都品川区)は入会金について、昨年9~11月と今年1~4月は0円、昨年12月は半額になると自社のウェブサイトで表示していた。実際には少なくとも昨年8月以降、利用者に通常の入会金を支払わせたことはなかったとしている。
参照元:産経新聞(2025年10月17日より)
問題点:実態のない「通常価格」をもとにした割引表示
消費者庁の発表によると、NOVAは自社サイトなどで以下のような表示を行っていました。
「入会金 一般 22,000円 → 0円」
「入会金 KIDS 11,000円 → 0円」
一見すると「期間限定の特別キャンペーン」のように見えますが、実際には長期間にわたり、通常の入会金を徴収していなかったことが判明。
つまり「通常22,000円」という価格には、支払い実績が存在しなかったのです。
消費者庁はこれを「消費者に実際よりも有利であると誤認させる表示」と判断し、景品表示法第5条第2号(有利誤認)に基づいて措置命令を出しました。
景品表示法における「有利誤認表示」とは?
有利誤認表示とは、商品やサービスの価格・取引条件について、実際よりも著しく有利であるかのように誤解させる広告表示のことを指します。
具体的には以下のようなケースが該当します。
- 実際には存在しない「通常価格」や「定価」との比較表示
- 常時行っている割引を「期間限定」として表示
- 実績のない値引きを「特別キャンペーン」として宣伝
本件のように、「通常価格」を長期間設定していなかった場合、割引や無料表示を行う根拠がなくなり、有利誤認にあたる可能性が高くなります。
事業者が注意すべき点
1. 「通常価格」には実績が必要
「通常価格」として表示する金額は、実際に販売・徴収した期間があることが前提です。
一定期間その価格で取引された実績がなければ、広告上の比較表示は「虚偽」とみなされるおそれがあります。
2. 「期間限定」表示は本当に期間が限定されていること
「今だけ」「○月末まで無料」などの表現を使う場合、終了後に必ず通常価格へ戻す運用を行う必要があります。
もしキャンペーンを繰り返し実施していれば、「常時割引」と同様と見なされ、法的リスクが高まります。
3. 広告表示のチェック体制を整備する
広告担当者や制作会社任せにせず、社内で法令チェックを行う仕組みを作ることが重要です。
表示内容を定期的に確認し、景品表示法ガイドラインに沿った運用がされているか監視する体制が求められます。
4. 従業員への景表法研修を実施する
広告・販売・広報などに関わる社員には、景品表示法の基礎知識を共有しておくことが必須です。
研修や社内マニュアルを整備し、「うっかり違反」を防ぐ意識づけを行いましょう。
5. 消費者の信頼を第一に考える広告設計を
短期的な集客効果を狙うよりも、正確で誠実な情報提供を行うことが結果的にブランド価値を高めます。誇張表現やあいまいな「お得」表示は、企業の信頼を損なうリスクを伴います。
まとめ:透明な表示が企業の信頼を守る
今回のNOVAのケースは、「通常価格」として掲げた入会金を実際には長期間徴収していなかったために、景品表示法違反と判断されたものです。
消費者に「今だけお得」と思わせる割引キャンペーンは有効なマーケティング手法ですが、根拠のない“通常価格”を基準にすることは法的に認められません。
今後、企業が広告を行う際は、
- 通常価格の実績を明確にすること
- キャンペーンの期間・条件を正しく設定すること
- 内部チェック体制を強化すること
が欠かせません。
透明で誠実な広告表示こそが、消費者との長期的な信頼関係を築く鍵となります。
このニュースから学んでおきたい知識




2025年10月17日、英会話学校「NOVA」を運営するNOVAランゲージカンパニーが、消費者庁から景品表示法違反(有利誤認表示)による措置命令を受けました。
「入会金0円」や「半額キャンペーン」といった広告を掲げ、通常は入会金が必要だが、今なら特別に安くなるかのように宣伝していました。
しかし、実際には実際には少なくとも1年以上にわたり“通常の入会金”を受講者から徴収していませんでした。
つまり、「通常22,000円(KIDSは11,000円)」とされた入会金は実際には長期間まったく支払われていなかった架空の価格であり、表示内容が実態とかけ離れていた点が問題視されたのです。
本記事では、このニュースの問題点と、今後事業者が注意すべき点を解説します。