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「広島初」表記で措置命令──“初出店”訴求が招いた景表法リスクと、事業者が学ぶべきポイント【2025年10月15日】

「初出店」表記で消費者庁が初の措置命令 テレビ新広島に景品表示法違反 ラーメンイベント告知で県内初出店ではない4店舗を「広島初」と表示

消費者庁はテレビ新広島のイベント告知に景品表示法違反があったとして、措置命令を出しました。
テレビ新広島は去年11月、「ひろしまラーメンスタジアム2024」を広島市で開きました。
消費者庁などによりますと、新聞の折り込みチラシやテレビCMなどで店舗を紹介した際、県内で初めての出店ではない4店舗について「広島初」と表示。「実際より優良」と思わせる内容で、景品表示法に違反したということです。
このため消費者庁はテレビ新広島に対し、15日付けで再発防止策などを求める措置命令を出しました。
テレビ新広島は「深くおわびします。再度このようなことがないように、社内で景品表示法の考え方を周知・啓発し、チェック体制を強化します」と話しています。ことしのラーメンスタジアムは、予定通り来月開催するとしています。
「初出店」の表記を巡って消費者庁が措置命令を出したのは、全国で初めてだということです。

参照元:Yahoo!JAPANニュース(2025年10月15日より)

2025年10月15日、消費者庁はテレビ新広島(TSS)が主催・告知した「ひろしまラーメンスタジアム2024」の広告表示について、景品表示法5条1号(優良誤認)に当たるとして措置命令(7条1項)を発出しました。

新聞折込やテレビCMで、県内初出店ではない4店舗を「広島初」等と表示していた点が問題視されています。

実際には、これらの店舗は過去に広島県内の同種・類似イベントへ出店歴があり、初出店ではなかったことが消費者庁の公表資料で確認できます。
この案件は、「初出店」表記をめぐる措置命令として全国初と報じられており、イベント告知の“初”訴求に対する行政の執行姿勢を示す象徴的事例になりました。

問題点

今回、テレビ新広島が主催・告知したイベント「ひろしまラーメンスタジアム2024」において、新聞折込チラシ・テレビCM等で、県内で初出店ではないにも関わらず「広島初」などと表示された店舗が4店舗あったことに対し、消費者庁は景品表示法の優良誤認表示に該当すると判断し、措置命令を出しました。

具体的には
・表示された文言として「北海道【札幌】 味噌 広島初」や「大阪【高槻】 鶏白湯 広島初」等があった。しかし、実際にはその店舗は過去に“同種又は類似のイベント”として、広島県内で開催されたものに出店実績があったため、「初出店」ではなかった。
・景表法第5条第1号は「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示」を禁止しています。今回の「広島初」という表示が、「県内で初めて登場/希少である」という優良性を感じさせ、消費者に誤認を与え得るものとされた点が該当。
さらに、行政は、本件表示が「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれ」があると判断し、措置命令を出しました。


まとめると、本件の問題点は次の通りです。

  • 「初出店/広島初」という表現が、実際には当該店舗に県内出店実績があり、誤解を招くものであった。
  • その誤解表示が、「優良性(希少性・新規性)」を訴求し、消費者に「この機会でしか味わえない」「県内では初」という特別感」を与えていた。結果として、景表法上禁止される優良誤認表示に該当すると判断された。
  • イベント主催者(テレビ新広島)は、表示内容の決定・管理を行っており、最終責任を問われる対象となった。

事業者が今後に備えて注意すべきポイント

この事案から、事業者が今後に備えて注意すべき実務的なポイントを整理します。

表現の「初○○」「日本初」「県内初」などの慎重な使用
こうした文言は、 「新規性/希少性」を訴求する上位的表現 であり、消費者に「今しかない」「先行」などの特別な価値を感じさせる傾向があります。
したがって、当該表現を用いる場合には、

・どの地域範囲を「初」とするのか(全国、日本、都道府県、市区町村)を明確にできること。
・過去の出店・展開実績を自社で把握・確認しており、「本当に初」であるという事実根拠があること。
・出店形態(常設店舗/期間限定出店/イベント出店)を明確区別し、混同表示にならないこと。

●本件では、「広島県内初出店ではない」にも関わらず「広島初」と表示されたため、これらの確認を怠ったことが直接の原因となりました。

調査・裏付け体制の構築
「初」などの表現を使用するにあたっては、 裏付け資料・証拠を社内に保存できる体制 を整えることが必要です。具体には、

・過去のイベント出店記録・出展者名簿・プレスリリース・別イベント告知などをチェックし、対象店舗の県内出店歴を調査。
・「出店形態」「地域」「イベント内容」が“同種又は類似”であるかを検証(例えば、過去に同規模・同趣旨のラーメンイベントに出店していたかなど)。
・表示を決定する部署・担当者が、景表法の対象となる表示の概念を理解し、チェック・承認プロセスを持つこと。

●本件では、テレビ新広島が過去出店実績のある店舗に対して「広島初」と表示していた点で、裏付け不足・確認体制の欠如が指摘されています。

表示作成プロセスと承認・チェック体制の強化
広告・チラシ・CMなどの表示作成段階で、法令リスクを防ぐためには次のようなプロセスが効果的と考えられます。

・表示媒体(新聞折込・チラシ・テレビCM・ウェブ広告)ごとに表示内容を統一・共通化し、不整合や誤表示のリスクを低減。
・コピー・原稿段階で「初○○」表現が含まれているかを検出し、理由(裏付け)を明示するチェックリストを設置。
・法務/コンプライアンス部門または顧問弁護士、第三者機関等が、表示案を事前レビュー。
・出稿前に「表示根拠確認」「過去実績チェック」「消費者を誤認させる可能性の有無」の観点からクロスチェックを実施。
・表示媒体(新聞折込・チラシ・テレビCM・ウェブ広告)ごとに表示内容を統一・共通化し、不整合や誤表示のリスクを低減。

まとめ

今回の措置命令は、イベント告知・広告分野においても 「初○○」の表現が景品表示法上の重大なリスク要因になり得る ことを改めて示しました。特に地域イベント・出店告知・催事型マーケティングを展開する事業者にとっては、次の点を強く意識する必要があります:

  • 表示内容の法令適合性を広告作成初期段階から組み込む仕組みを持つこと。
  • 裏付け調査・記録保管を「いつでも証明できる体制」で運営すること。
  • 表示する文言に対して「消費者がどう受け取るか」を消費者視点でチェックすること。
  • 万一の誤表示リスクを考慮し、早期対応・社内体制整備・パートナー(代理店・印刷会社)含めた設計をしておくこと。

事業者としては、表示に込める“新規性・希少性”の訴求と、それを裏付ける実態とのギャップがないかを常に心がけましょう。

このニュースから学んでおきたい知識

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