薬機法・景表法ニュース

株式会社新日本エネックスが景表法違反で課徴金納付命令!問題点や今後の注意点を解説【2025年6月5日】

太陽光「No.1表示」に課徴金 消費者庁、福岡の発電機器会社に

 消費者庁は5日、不適切な調査に基づき、「顧客満足度No.1」などと宣伝したのは景品表示法に違反するとして、太陽光発電機器を販売施工する「新日本エネックス」(福岡市博多区)に課徴金9989万円の納付を命じた。24年2月に再発防止の措置命令を出していた。

 消費者庁によると、新日本エネックスは調査会社に依頼した内容に基づき23年4、5月に、自社サイトで「知人に紹介したい蓄電池販売No.1」「顧客満足度No.1」などと宣伝。しかし調査の内容は、実際に利用した人かを確認せず、同社の印象などを聞くもので、客観的な調査ではなかった。


 取材に対し同社は「課徴金は納付する」と述べた。


参照元:yahoo!ニュース(2025年6月5日より)

2025年6月5日、福岡市に本社を置く太陽光発電機器販売会社「新日本エネックス」に対し、消費者庁が約1億円にのぼる課徴金の納付を命じました。問題となったのは、同社が「顧客満足度No.1」や「知人に紹介したい蓄電池販売No.1」といった表示を行っていた点です。

一見、企業の実力や信頼性を示す「No.1表示」ですが、根拠となる調査に重大な不備があったことから、景品表示法違反と判断されました。

実は、2024年2月に同様の表示に対して「再発防止の措置命令」が出されており、今回はそれに続く“金銭的な制裁”としての課徴金命令となります。

このような表示がなぜ問題となるのか、そして同様のリスクを避けるために事業者が気をつけるべき点は何か――本記事では、今回のニュースをもとに詳しく解説していきます。

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何が問題だったのか

今回、消費者庁が問題視したのは、新日本エネックスが自社のWebサイトなどで掲げていた「顧客満足度No.1」「知人に紹介したい蓄電池販売No.1」といった広告表示です。一見するとよくある宣伝文句のようにも見えますが、その裏にある調査手法や表示の仕方に重大な問題がありました。

「No.1表示」の根拠が不適切だった

企業が「No.1」や「満足度トップ」といった表現を用いる場合、景品表示法では「合理的な根拠資料に基づいていること」が求められます。つまり、客観的で信頼性のある調査結果や統計データが必要になります。

ところが、新日本エネックスが依頼した調査は、以下のような問題点がありました:

  • 実際の利用者であるかどうかを確認していない
  • 回答者に聞いたのは、あくまで「印象」であり、実体験に基づく評価ではない
  • 調査手法やサンプル数、対象者の属性などが不明確で、客観性に欠けていた

このような状態で「顧客満足度No.1」と謳ってしまうと、消費者に対して、実際よりも優れた商品・サービスであると誤認させるおそれがあります。

景品表示法違反としての処分

このような表示は「景品表示法」の優良誤認表示に該当します。優良誤認表示とは、実際より著しく優良であると誤解されるような表現を指します。

消費者庁はこれに基づき、以下の行政処分を行いました:

  • 課徴金納付命令:9,989万円

課徴金とは、不当表示によって得たとされる売上に対して課される金銭的制裁で、企業にとっては大きな経済的・信用的ダメージになります。

事業者が注意すべきポイント

今回の事例は、「No.1表示」「顧客満足度」「紹介したい」などの消費者の信頼を引きつける表現を使う際に、事業者がどれほど慎重であるべきかを示しています。以下に、同様のリスクを避けるために企業が押さえておくべき具体的なポイントを解説します。

【1】表示に使う調査の「客観性」と「裏付け」があるか?

「No.1」「満足度トップ」などの表現は、第三者による公正な調査をもとにしていなければなりません。

以下の点を必ず確認しましょう:

  • 調査対象が実際の利用者かどうか
  • 回答サンプルの数と属性(年齢、地域など)が適切か
  • 調査の実施主体・方法が明確で、信頼性があるか
  • 調査結果の数値的根拠(データ)を保管しているか

仮に第三者機関の調査であっても、内容が不十分であれば責任を問われる可能性があります。

【2】表現が消費者の「誤認」を招かないか?

法律で禁止されているのは「嘘」だけではありません。実態以上に優れていると消費者に思わせる表現もNGです。

たとえば、

  • 「日本一の支持率」→ 実際は限られた地域での調査
  • 「97%が満足」→ アンケートが特定の期間・特定の人に偏っている
  • 「紹介したいと答えた人No.1」→ 利用経験のない人が回答している

このような表現は、一部に事実が含まれていても、全体として誤解を与えるため、法律違反となり得ます。

【3】表示内容の「法務チェック体制」を整える

広告表示に関わるリスクを回避するには、社内の法務部門や外部専門家による事前チェックが欠かせません。

具体的には、

  • 景品表示法のチェックリストを用意する
  • 広告制作の段階で弁護士や専門機関に相談する
  • 調査データや裏付け資料を社内に保管し、説明責任に備える

また、「表示ルールを担当者任せにしない」ことも重要です。企業としてのガバナンスが問われる場面でもあるため、経営層の理解と体制づくりが不可欠です。

まとめ

「顧客満足度No.1」や「紹介したい蓄電池販売No.1」といったキャッチコピーは、企業にとって魅力的な広告表現ですが、その裏付けが不十分な場合は、景品表示法違反として重い処分が下される可能性があります。

今回の新日本エネックスの事例では、調査の方法や信頼性に問題があり、最終的に9,989万円という大きな課徴金が科されました。これは単なる金銭的ダメージだけでなく、企業のブランドイメージや信用にも深刻な影響を与えるものです。

事業者が広告表示を行う際には、以下の点を常に意識する必要があります。

  • 調査の客観性と信頼性を確認する
  • 消費者に誤解を与えない表現を心がける
  • 法務チェック体制を整え、リスクを未然に防ぐ

マーケティングと法令遵守は相反するものではなく、信頼性ある情報発信が結果的に企業の価値を高めることにつながります。短期的な訴求力を重視するあまり、根拠のない「No.1表示」に頼るのではなく、誠実で透明性のある広告が求められています。

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