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漢字を工夫すれば良いというわけではない
健康食品の広告において、少なくとも「冷え症」という“やまいだれ”を使用した単語の使用は医薬品的な効能効果を暗示する可能性があるため、使用はできないと判断します。
その替わりとして「症」の漢字を「性」に置き換え「冷え性」と表現するという方法があります。確かに「冷え症」に比べて断然「冷え性」の方が見た目の配慮感はありますが、推奨されるものではありません。
ただ、日本語には漢字があり、音が一緒でも当てはめる漢字の違いで解釈を変えることができる事は事実なのでここを上手に使っていくというのはひとつのテクニックと言えます。
美白:医薬品的効能効果にあたる
美迫:美しさに迫る⇒美容の範囲
「冷え性」のように、漢字の置き換えをしてもなかなか適当な表現にできないという場合には「冬の寒さ対策」や「寒い季節を快適に」といった気温や環境にフォーカスした表現に置き換えてみましょう。
「ぽかぽか」等擬態語(擬音)表現の活用
「ぽかぽか」という言葉は、適切な文脈であれば使用可能ですが、医薬品的な効能効果を想起させる使い方は避ける必要があります。
- 手足の先までぽっかぽか
- 血行促進で全身ぽかぽか
- 湯気が立ちのぼる温かいお茶で心も体もリラックス
- 手元まで温もりを感じられる一杯
このように、商品自体を「温かくして飲む/食べる」というものなのであれば使いやすいと言えます。
ポジティブなライフスタイルに当てはめる
サプリメントはお茶のように直接的な温かさを訴求できないため、別の視点から商品で得られる効果をそれとなく伝える必要があります。
- 冬を元気に乗り越えたい方へ
- 寒い季節もイキイキと過ごしたいあなたに
- こごえる毎日をしっかりサポートする健康習慣
- 冬の暮らしをもっと心地よく
- 寒さに負けない毎日を応援し
- 季節の変わり目も健やかに
これらの表現は、あくまでもポジティブなライフスタイルを述べているものであって、医薬品的効能効果でははありません。商品の摂取によって得られる具体的な体感(効果)を表現するのではなく、ライフスタイルや漠然とした表現(多義的な言葉を使用し多角的な解釈できる表現)を探すと良いでしょう。
その他にも「ほっこり」「ゆったり」という言葉をうまく取り入れたり温かみのある色合いで構成したり、リラックスした表情のモデルを使用する等の工夫も有効です。
「含有成分」によるアプローチ
配合している成分名を強調することは、商品の訴求力を高めるための有効な方法です。ですが、その成分が医薬品的な効能効果を持つかのような表現は直接的、間接的を問わず不可と判断されます。
生姜やトウガラシなど、体を温めるイメージのある成分を含む場合でも、その効能効果を直接的に表現することはできません。
- 生姜が血行を促進し、体を温めます
- トウガラシ成分で代謝アップ
- 生姜やトウガラシなどの素材を使用
- 体に嬉しい成分を厳選し配合
- 今ホットな成分配合!(「ホット」は「“話題”という意味で使用)
「ホット」や「アツい」と言った表現は“今話題”だという意味を持つ言葉でもあるので、そこに乗じて表現する方法も可能と考えられます。
打ち消し表示の活用
そのまま使用するには少々難しい単語に定義を持たせ、医薬品的効能効果ではないことを示して用いるという方法もあります。
例えば、
気になる冷え※に
※冷えとは一般的な寒さを指します。
というようなパターンです。
ただ、現在打ち消し表現の運用は景品表示法上厳しく見られており、打ち消ししておけば何でもOKということではありません。明らかにNGな言葉に対して用いるのではなく、そのまま使用するには若干不安がある・・・程度の言葉に対し、無理のない範囲(無理やりなこじつけにならない範囲)の定義を用いるというのがひとつのマナーです。
また、前後の文脈で「外気の寒さによるもの」であることを明確に伝える必要があります。打ち消しが免罪符になるものではないため、全体のバランスに注意しましょう。
ホット飲料等、物理的に得られるものの活用
温かい飲み物であれば、物理的な温かさを訴求することが可能です。
- ほっと一息
- 心も体も温まるひとときに
またわざわざ「お湯で飲んで」と言わなくてもあえて湯気の立つカップをコピーの横に添えることで商品や成分による発熱効果(医薬品的効能効果)ではなく物理的な効果であることを示す事もできます。
全体の印象にも配慮する
広告は個々の文言だけでなく、全体のトーンやビジュアルも規制の対象となります。ひとつだけであれば問題無い表現でも繰り返し用いたり、画像と組み合わさることによっての印象の変化等から過剰と判断されてしまわないようにバランスにも配慮が必要です。
「塵も積もれば山となる」にならないように注意しましょう。
尚、今は薬機法だけではなく、景品表示法や健康増進法への配慮も必要です。『医薬品的効能効果にはあたらないとするための抗弁を用意している』だけでは不十分と言えます。
抗弁ができる言葉だけを選び広告を作成したとしても、その積み重ねで冷えの改善に効くような印象を消費者に与えるのであれば、不当表示(虚偽・誇大)と判断されてしまう可能性があります。全体の印象にも配慮をしていきましょう。
参考元:東京都保健医療局
冷え対策商品の広告制作では、薬機法を守りつつ、擬態語や環境訴求を活用し効果的な表現を工夫することが重要です。全体のバランスに配慮し、誤解を招かない広告作成を心がけましょう。
薬事法広告研究所では、広告表現に関するコンサルティングサービスを提供しています。もし広告表現のことでお困りごとなどがございましたら、お気軽にご相談ください。
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この記事から学んでおきたい関連知識
季節が移り変わり、冬の寒さを感じる時期になると、冷え対策商品が注目を集めます。特に、肌着や食品、雑貨など、多くの商品が市場に並ぶことでしょう。
このように「冷え症対策の商品」は、特に冬の時期に注目されるカテゴリーです。広告制作においては法律や規制を遵守しながら、効果的なコピーを作成する必要があります。
今回は冷え症対策の健康食品広告をベースとしながら、ルールに抵触しないコピーの作り方と注意点を解説します。
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