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適格消費者団体とは?企業が知っておくべき基礎知識と問い合わせ対応のポイント

SNSが当たり前のように使われる今、企業の商品やサービスに対する評価は瞬時に広まり、社会的な注目を集めることがあります。消費者が不満や疑問を感じた投稿がきっかけで、多くのコメントが寄せられ、「消費生活センターに相談すべき」といった声が上がるケースも少なくありません。

こうした中で、時折登場するのが「適格消費者団体」という存在です。消費者庁の認定を受けたこの団体は、消費者の利益を守るため、企業に対して表示の是正や契約条件の見直しを求めることができます。

本記事では、「適格消費者団体とは何か?」という基本的な知識から、企業が問い合わせを受けた際に取るべき対応までをわかりやすく解説します。

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適格消費者団体とは

適格消費者団体とは、消費者庁の定義によると、「不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するために、差止請求権を行使することができる適格性を持つ団体」であり、内閣総理大臣の認定を受けた法人です。

ここでいう「差止請求権」とは、企業が消費者に対して不適切な取引や表示を行っている場合に、それを是正するよう請求し、必要に応じて裁判に持ち込む権限を意味します。これは、個人では対処が難しい不当な取引行為に対して、集団として立ち向かうための重要な手段です。

適格消費者団体が対応する主な行為

適格消費者団体は、以下のような企業の行為に対して対応します。

  • 問題のある勧誘行為
    例:重要な説明を省く、虚偽の説明をする、しつこく勧誘するなど
  • 問題のある契約条項の設定
    例:過剰な解約料、事業者が一切責任を負わない条項など
  • 不当表示
    例:実態以上に優良であると誤認させる表示(優良誤認表示)、実際より有利に見せる表示など(有利誤認表示)

これらの行為に対し、適格消費者団体は是正を求める活動を行っています。

景品表示法改正による新たな権限

令和5年の景品表示法改正により、適格消費者団体は企業に対して「表示に関する合理的な根拠資料」の開示を求めることができるようになりました。企業にはこれに対応する努力義務が課されており、正確で根拠ある広告表示の重要性が一層高まっています。

このように、適格消費者団体は消費者を守るだけでなく、企業の広告活動や契約内容に対しても厳しいチェックを行う存在です。

企業が知っておくべきリスクと事前対策

適格消費者団体からの問い合わせは、突然やってくることがあります。しかもその指摘内容は、企業側が問題ないと認識していた広告表示や契約条件であることも珍しくありません。これは、適格消費者団体が独自の視点で問題点を抽出し、消費者の利益保護を最優先に活動しているためです。

企業としては、「法令に違反していないから大丈夫」と安心するのではなく、“誤認を与える可能性がないか”という観点でも自社の表示や取引条件を見直す必要があります。

よく見直すべき3つのポイント

以下の点は特に指摘されやすく、事前の見直しが重要です。

1. 契約条件
  • 解約が著しく困難な仕組みになっていないか
  • 一方的に企業側に有利な条件が盛り込まれていないか
2. 勧誘方法
  • 電話・訪問販売などで、断っても引き下がらないなど、過度な勧誘をしていないか
  • 誤解を招くようなトークスクリプトになっていないか
3. 広告表示の根拠(エビデンス)
  • 表示している効果・実績に、合理的な根拠となる資料があるか
  • 「No.1」「満足度98%」などの表現に、裏付けがあるか

対策の第一歩は「社内チェック体制」

こうしたリスクに備えるためには、日頃から表示内容や契約内容を確認・見直す体制を整えておくことが有効です。マーケティング部門や法務部門、外部の専門家と連携し、「広告表現レビューの仕組み」や「表示根拠の管理台帳」などを導入する企業も増えています。

企業イメージを損なわないためにも、事前の準備が最良の防御策となります。

適格消費者団体からの問い合わせがあった時の対応

適格消費者団体から企業に対して問い合わせが届いたとき、多くの企業は戸惑いや不安を感じるものです。しかし、この時点ではまだ「違法」や「不当」と判断されたわけではありません。

重要なのは、問い合わせを放置せず、迅速かつ誠実に対応することです。初動対応の良し悪しが、その後の対応負担や企業イメージに大きく影響します。

基本対応フロー

以下は、問い合わせを受けた際の基本的な対応手順です。

1. 内容の正確な把握

まずは、適格消費者団体からの指摘内容をよく読み、何が問題とされているのかを正確に把握しましょう。誤解や思い込みによる対応は逆効果です。

2. 社内での事実確認と改善検討

該当する広告や契約条件について、法務・広報・関係部門で内容を精査し、指摘に妥当性があれば速やかに改善策を検討します。

3. 回答と説明資料の提出

合理的な根拠が求められている場合は、エビデンスとなる資料を提出し、指摘に対して丁寧に説明します。回答の内容や文面は慎重に作成しましょう。

4. 対応結果の記録と再発防止

やり取りの経緯を記録し、同様の問題が再発しないように社内ルールを見直すことも大切です。

放置のリスクは非常に大きい

問い合わせを無視したり、後回しにすると、「誠意ある対応がなされなかった」として、適格消費者団体のホームページなどで企業名や対応経緯が公開される恐れがあります。さらに、差止請求という法的措置に発展するリスクも否定できません。

一方で、適切に対応し、誠意をもって修正や説明を行えば、それ以上の措置を取られることは避けられるケースがほとんどです。冷静かつ丁寧な対応が、最も効果的なリスク回避策となります。

まとめ

適格消費者団体は、消費者の利益を守るために活動する公的な役割を担う団体です。その活動は、企業にとって時に厳しく感じられることもありますが、消費者の信頼を得るためには、こうした第三者の視点を受け止める姿勢が不可欠です。

不当な取引条件や、根拠に乏しい広告表示は、法令違反にとどまらず、企業イメージを大きく損なうリスクにつながります。万が一、適格消費者団体からの問い合わせがあった場合でも、落ち着いて、誠実に、迅速に対応することが信頼回復の鍵となります。

また、日常的に社内の広告や契約条件を見直し、表示の根拠となる資料を整備しておくことで、トラブルの予防につながります。「問題が起きてから対応する」のではなく、「起きないように備える」という意識を持つことが、今後ますます重要になるでしょう。

企業活動と消費者保護は対立関係ではなく、適切なバランスの上に成り立つものです。透明性と誠実さをもって取り組むことが、企業の信頼を高め、持続的な成長につながるのです。

参照元:消費者庁

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