消費者庁は9月19日、味の素とイングリウッドが提供する冷凍宅配食「あえて、」においてステルスマーケティングの疑いがあったと公表した。 味の素とイングリウッドは違反疑義に対する是正の確約計画の認定を申請し、消費者庁はこれを認定。景品表示法違反認定を免れた。イングリッドについては冷凍宅配食「三ツ星ファーム」でも違反疑義行為があり、その案件についても是正の確約計画を認定し、消費者庁は認定している。
消費者庁によると、「あえて、」では第三者に対して商品の無償提供を条件に、Instagramへの投稿を依頼、その投稿を2024年5月10日から8月6日までの間、販売サイトに「使ってみた方の感想 Instagramでの投稿レビュー」としてPR表記をせずに表示しており、ステルスマーケティングの疑いがあるとした。
認定された是正の確約計画の概要は次の通り。
- 疑われたステマ行為を既に行っていないことを確認することと、同様の行為を行わないことを取締役会などで決議すること。
- ステマ疑いの行為の内容について一般消費者に周知徹底すること。
- ステマ疑いの行為及び同種の行為が再び行われることを防止するための各種措置を講じること。
- 措置の履行状況を消費者庁に報告すること。
イングリウッド単独の「三ツ星ファーム」では、2023年10月1日から2024年8月19日まで「あえて、」でのステマ疑い行為と同様の表示を実施していたほか、「ご好評につき3冠達成!」「プロの料理人がオススメする宅食ランキングNo. 1」「宅食サービス総合支持率ランキングNo.1」「ダイエット中の女性 が選ぶ食事サービスNo.1」「たくさんの方に選ばれています」など客観性のある調査に基づいていない「No.1表示」のエンブレムを表示しており、景品表示法違反の疑いがあるとした。
イングリウッドが認定された是正の確約計画の内容は、味の素とイングリウッドが提供する冷凍宅配食「あえて、」の確約計画の内容に加え、2021年6月16日から2025年2月9日までの間に商品を購入した一般消費者に対し、購入金額の一部を返金することが盛り込まれている。
味の素とイングリウッドは9月19日に「あえて、」のサイト上で、連名でお詫びを掲載。「今後は、この度認定を受けました各影響是正措置計画を確実に実行するとともに広告管理体制をより一層強化するなどし、引き続き法令順守の徹底を図り、企業の社会的責任に基づいた事業 運営に努めてまいります」としている。なお「三ツ星ファーム」でも同様にお詫びを掲載し、返金の案内を出している。
参照元:Yahoo!ニュース(2025/9/24より)
今回のニュースの問題点
広告の透明性欠如
無償提供した商品についてインフルエンサーに投稿させ、それをPR表記なしで口コミとして掲載。消費者に「自然な利用者の感想」と誤認させる恐れがありました。
根拠のないNo.1表示
「宅食サービス総合支持率No.1」「プロの料理人がオススメNo.1」など、裏付けのない優位性表示が使われており、消費者を誤認させる危険がありました。
認定された確約計画の内容
「あえて、」については以下が盛り込まれました。
- ステマ行為を既に停止し、今後行わないことを取締役会で決議
- 消費者への周知徹底
- 再発防止に向けた内部体制整備
- 実施状況の消費者庁への報告
「三ツ星ファーム」ではさらに、
- 2021年6月〜2025年2月に購入した消費者への一部返金
が含まれました。
企業側の注意すべき点
誠実な消費者対応:疑義が生じた場合には迅速な是正や返金で信頼回復に努める。
広告であることの明示:SNS投稿や口コミは必ず「PR」「広告」表記が必要。
根拠ある表示の徹底:「No.1」や「〇冠達成!」といった表現は、客観的な調査データを伴わなければならない。
内部チェック体制の強化:法務・コンプライアンス部門による事前確認を仕組み化することが重要。
最後に
今回の確約計画認定は、広告の透明性と表示の正確性が強く求められる時代であることを示す事例です。
確約計画制度は、行政処分を回避する代わりに企業が自主的に改善と再発防止を徹底する責任を負う仕組みです。
事業者は本件を教訓に、消費者の信頼を裏切らない広告運営と法令順守を徹底することが不可欠です。
このニュースから学んでおきたい知識
消費者庁は2024年9月19日、味の素とイングリウッドの冷凍宅配食「あえて、」において、ステルスマーケティングの疑いがあると発表しました。両社は違反疑義を受けて是正の確約計画を提出し、認定を受けたため景品表示法違反の正式認定は免れました。
一方、イングリウッド「三ツ星ファーム」においても、同様のステマ行為や根拠のない「No.1表示」が確認され、こちらについても確約計画が認定されています。